実は深い翻訳業界㊹~グローバルに活躍するなら!検討したい海外の翻訳資格
- SIJIHIVE Team
- 5 日前
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前回の記事では、翻訳者が自分のスキルを証明するのに役立つ資格を国内中心に紹介しました。関係者の方から反響をいただきましたので、今回はその後続編として海外の資格に特化し、グローバルに活躍したい翻訳者の方々にとって役立つ情報をまとめています。
「海外の翻訳資格まで取得する必要ある...?」と思うかもしれません。しかし、考えてみると、翻訳者が相手にするのは世界各国のクライアントです。いくら「JTFほんやく検定」1級を取得していても、アメリカのクライアントにはその資格の意義からまず伝えなければならず、あまり刺さらないことがあるかもしれません。
もちろん、資格取得が翻訳者の主たる目的ではありませんから、「あれもこれも」としゃかりきになって手を出す必要はありません。以下に海外の翻訳資格の一例を挙げていますので、自分にマッチするものを探してみてください。
アメリカの翻訳資格

まず、アメリカの翻訳資格2つを紹介します。
ATA認定翻訳者試験(ATA Certification)
◆主催:American Translators Association(米国翻訳者協会)
◆言語ペア:英日・日英あり
◆特徴
アメリカで最も認知度の高い翻訳資格です。試験に合格すれば、「ATA 認定翻訳者(ATA-Certified Translator)」の肩書を使用することができます。ただし、ATA の会員登録(年会費あり)が必要で、1回の受験料が525ドル(約78,000円)とかなり高額な点が難点です。また、受験するのは経験を積んだ翻訳者ばかりですが、合格率20%と難易度も高め。
◆おすすめの人:
アメリカ在住のフリーランス翻訳者(ATA 会員として信用度アップ)
企業・政府機関の翻訳案件を受けたい人
◆公式サイト: https://www.atanet.org/
University of Arizona's Translation & Interpretation Certificate
◆主催: アリゾナ大学
◆特徴
全米で認知度の高い大学の翻訳資格です。オンライン受講可能なので、どこに住んでいても取得しやすい点が大きな特徴です。法律・医療翻訳のコースも充実しています。
◆おすすめの人:
北米で翻訳・通訳の仕事を目指す人
大学レベルの翻訳教育を受けたい人
ヨーロッパの翻訳資格

ここでは、ヨーロッパで高く評価されている翻訳資格を4つ紹介します。
CIOL DipTrans(Chartered Institute of Linguists Diploma in Translation)
◆主催: 英国「Chartered Institute of Linguists(CIOL)」
◆言語ペア: 英日・日英あり
◆特徴
イギリスの公的な翻訳資格で、ヨーロッパでも高い評価を得ている翻訳資格です。合格すれば、政府機関・法律・ビジネス翻訳の仕事で有利になります。また、「DipTrans」の資格を持っているとCIOL の上級会員として認められるため、翻訳者として高いブランド力を身に付けることができます。
◆おすすめの人:
・イギリス・ヨーロッパ在住の翻訳者(特に法務・金融・公的機関向け翻訳)
・国際的な翻訳資格が欲しい人
◆ 公式サイト: https://www.ciol.org.uk/diptrans
MITI(Institute of Translation & Interpreting)認定資格
◆主催: 英国「Institute of Translation & Interpreting(ITI)」
◆言語ペア: 英日・日英あり
◆特徴:
英国で最も権威のある翻訳者協会の認定資格です。「MITI(正式会員)」になれると、国際的な信用度がアップします。ただ、認定資格を得るためには、試験に合格するだけでなく、実務経験(3年以上)が必要です。
◆ おすすめの人:
・イギリス・ヨーロッパでプロの翻訳者として活動したい人
・法律・ビジネス・医療分野の翻訳をする人
◆公式サイト: https://www.iti.org.uk/
DGT 認定翻訳者(EU公認翻訳者)
◆主催: 欧州委員会の翻訳局(DGT: Directorate-General for Translation)
◆特徴:
資格取得すれば、EU 機関の公式翻訳者として登録可能です。結果として、EU 向けの公式文書翻訳の仕事を受けやすくなります。また、フリーランス翻訳者の契約(フリーランス翻訳者データベース)にも登録可能です。
◆おすすめの人:
・EU 加盟国で翻訳の仕事を探している人
・公的機関の翻訳に興味がある人
Université de Genève (ジュネーブ大学) 翻訳修士課程
◆主催: ジュネーブ大学(スイス)
◆特徴:
国際機関(UN・WHO・WTO)で働く翻訳者向けのトップレベルの学位。スイスの翻訳者養成の名門であり、卒業生の多くが国際機関の翻訳者として活躍しています。学生たちはアラビア語、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、ロシア語の中からペアを選びます。
◆おすすめの人:
・国際機関での翻訳キャリアを目指す人
・ヨーロッパ・スイスで高レベルの翻訳教育を受けたい人
◆公式サイト: https://www.unige.ch/fti/en/
特定分野(医療・法律・IT)の翻訳資格

ここでは、専門領域を扱う上で持っておくと良い翻訳資格を2つ紹介します。
Certified Court Interpreter(米国裁判所認定通訳資格)
◆特徴
アメリカで法律翻訳・通訳、法廷通訳、司法翻訳をするなら必須の資格です。カリフォルニア州、ニューヨーク州など、各州ごとの試験があります。アメリカの場合、ほとんどが英語/スペイン語の通訳者です。
Certified Medical Interpreter(CMI, 米国医療翻訳資格)
◆特徴
アメリカで医療翻訳・通訳の仕事をする上では有利な資格です。英語力の証明として TOEIC 730以上、日本語力の証明として日本の高卒以上の資格が必要です。さらに40時間かけて指定認定機関から認定されることで受験資格が得られます。試験はマークシートで、自宅でオンライン受験が可能です。
まとめ~どの資格をとるべき?

いかがでしたか?以上を参考にして、自分が住んでいる地域や得意分野、あるいはクライアントがどの国にいるのかなど、複数の要素を考慮しながら、ぴったりの資格を見つけてみてください。
◆アメリカ在住 → ATA 認定(ATA-Certified Translator)
◆ヨーロッパ在住 → CIOL DipTrans / ITI 認定(MITI)
◆法律翻訳をしたい → Certified Court Interpreter
◆医療翻訳をしたい → CMI(Certified Medical Interpreter)
◆国際機関で働きたい → DGT 認定 / ジュネーブ大学 翻訳修士
こうした資格取得を考えてみることで、今までにはなかった国との接点が生まれたり、新しい世界が広がるかもしれません。勉学はいつでも新たな道への入口です。翻訳者たるもの、日々常に勉強ですがそれを楽しんでいきたいものですね!
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著者プロフィール
YOSHINARI KAWAI
2008 年に中国に渡る。四川省成都にて中国語を学び、約 10 年に渡り、湖南省、江蘇省でディープな中国文化に触れる。その後、アフリカのガーナに1年半滞在し、英語と地元の言語トゥイ語をマスターすべく奮闘。コロナ禍で帰国を余儀なくされ、現在は福岡県在住。
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