「フリーランス」という働き方はいつどのように仕事をするかを自分で決められ(るとされてい)ますが、逆にいえば、いつでもどこでも仕事が「受けられる」と考えられがちです。
特にフリーランスの翻訳者さんの場合、海外のクライアントを相手にすることも多いため、夜昼、土日祝日関係なく仕事をしていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?しかし、そんな状態が続くとプライベートや家族との時間がどんどん浸食され、いつのまにかクライアントや仕事に支配されてしまっていることに気づくことも…。
今回は「翻訳者の休日」をテーマにして、よくある翻訳者の仕事スケジュールや、休みを確保するための具体的なアイディアを取り上げます。同じ悩みを抱えながら働いている翻訳者の方にとって、少しでもタイムマネジメントのヒントになれば幸いです。
翻訳者の勤務時間
フリーランス翻訳者の方は海外のクライアントとやりとりすることも多いのではないかと思います。その場合、時差を考慮にいれたスケジュール管理が必要になってきます。アメリカやヨーロッパの企業と主に仕事をする場合は、日本の夜や早朝にできる限り勤務できる体制を整えておくことで仕事がスムーズに進む場合もあります。
また、週末になれば国内企業とのメールのやりとりは基本的になくなるため、土曜日の朝を迎えると若干の解放感に包まれます。しかし、アメリカではまだ金曜日なので休みの解放感も束の間、依頼メールが届くことも…。
逆に日本の月曜日午前は欧米ではまだ日曜日なので、こちらが仕事モードになっていても、あちらからは何の音沙汰もないこともあり、スケジュールがシンクロしない難しさを感じることもあるのではないでしょうか?
また、年末年始を除き、祝日は各国で異なるため、家族が「お休みモード」になっていても仕事をしなければならない場合があります。年末年始であっても、弊社の場合はホリデーシーズン向けの特設サイトを作りたい、1/1にブログを投稿したいので翻訳してほしい、などマーケティング特有の依頼が来ることもあり、繁忙期になることも多いです。
土日は本当に休めるの?
また、フリーランスの方(またはこれから目指そうとしている方)にとっては、「土日は仕事をする前提なのか」も気になるポイントかもしれません。
これはクライアントの勤務形態やそれぞれの担当者により異なるため、クライアントから週末に連絡が来ればできる限り返信する…という形で良いかと思いますが、通常の企業であれば土日はしっかりと休みにしているところが多いと感じます。(広告会社やゲーム関係のクライアントなどの場合、土日や夜も関係なく依頼が来ることもあります)
ただ、子育て中や土日に他の仕事をされているなど一部のケースを除き、フリーランサーとして「曜日や年末年始に関係なく仕事をしている」という方が実際は多いようです。
休みたい場合はどうする?
このように国内外のクライアントを相手にしていると、いつでも「avilable」で、仕事を受けられる状態であるとみなされてしまうこともあります。お仕事をいただけることはありがたいことですが、それで疲れ果てて体調を崩してしまったり、家族との時間がなくなってしまったら本末転倒です。そこで大切なのが時間のマネジメント(自主的に休みを設定しておく)が重要になります。もちろん相手がいることですので、時差も考慮に入れて前もって連絡をいれておきましょう。
ただ、私も含め、多くのフリーランスの方は「こちらの都合で休みを取ってしまっていいのか?いつでも avilable のほうが仕事をもらえるのでは…」と不安を感じるはずです。しかし、経験のある翻訳者が口をそろえて言うのは「クオリティの高い仕事をしていれば、仕事が途切れることはない」ということ。であれば、寝不足や過労にならないように自主的に休日を取り分けて、定期的にリフレッシュしたほうがよいということになります。
休暇の伝え方
翻訳会社の場合、ベンダー管理システムを使用してマイページで休暇申請を行えるようにしているところも多いです。Web でカレンダーを開いて前もって休暇を登録し、その間は依頼が来ないようにしておきましょう。
また、メールやチャットでやりとりしているクライアントの場合は十分前もってその予定を伝えておき、バケーションメール(不在通知メール)を自動返信するよう設定するのが業界上のマナーになっています。
もっとも、長期で休みをとって旅行などに行く場合は、夜などに1日最低1回はメールチェックを行えるとよいでしょう。
英語の不在通知メールの例
件名:Kaori OOO - December 13-15
※OOOは「Out of Office」の略。コミュニケーションで主にファーストネームを使用している場合は、このように OOO の前に名前を入れることが多いです。
本文例1:
Thank you for your email, but I am currently on leave and will be back to office on December 16th, please expect a delay in my response.
(ご連絡ありがとうございます。あいにく不在にしており、12月16日に戻ります。少々返信が遅れますことご了承いただければ幸いです。)
本文例2:
Thank you for your email. I'll be out of office from December 13th to 15th. If you require urgent assistance during my absence, please contact Mr. Tomita on cc here.
(ご連絡ありがとうございます。12月13日~15日まで不在にしております。不在中のご連絡は、本メールに CC している富田までお願いいたします。)
真のフリーランスを目指す
代表作「ウォールデン 森の生活」で知られるアメリカの作家、ヘンリー・デイビッド・ソローは次のように述べています。
「真に有能な労働者は、一日がびっしり埋まっていることはなく、ゆとりとくつろぎのオーラにすっぽり包まれて仕事にぶらぶら歩いていく」
ちなみに以前は休みなく働いていた弊社代表も法人立ち上げ後は原則的に土日を休みにしています。24時間365日動き続ける翻訳業界で活躍される皆様が、休みを上手にとることで時間的「スラック(ゆるみ)」をつくり、心の余裕と充実したプライベートを楽しみながら今後もクオリティの高い仕事を続けられますように!
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著者プロフィール
YOSHINARI KAWAI
2008 年に中国に渡る。四川省成都にて中国語を学び、約 10 年に渡り、湖南省、江蘇省でディープな中国文化に触れる。その後、アフリカのガーナに1年半滞在し、英語と地元の言語トゥイ語をマスターすべく奮闘。コロナ禍で帰国を余儀なくされ、現在は福岡県在住。
編集:SIJIHIVE TEAM
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