「The future of music is in AI(音楽の未来は AI にある)」
EDM シーンを代表する DJ/音楽プロデューサーの David Guetta(デヴィッド・ゲッタ)さんは、AI と音楽クリエイティブの可能性について上記のように述べました。
テクノロジーの進化につれて、音楽の表現方法も変化します。令和に入ってからの音楽ニュースは、従来の常識を覆すようなトピックも多くありますよね。
そこで本記事では、令和に入ってからの最新の音楽ニュースを厳選して紹介します。
テクノロジーを使用した最新の音楽トピックに興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。
「音楽×テクノロジー」最新音楽ニュースをピックアップ
最新の音楽ニュースの傾向として「音楽×最新のテクノロジー」の話題が多い点が挙げられます。
AI や VR を組み合わせた新たな音楽体験や、音や動きから情報を読み取るセンシング技術を取り入れたスマートスピーカーやライブ演出など、令和の音楽業界では最新のテクノロジーの話題が中心です。
AI や VR、センシング技術などのテクノロジーが実生活で活用されはじめたのは近年のことです。最新テクノロジーを取り入れた音楽ニュースをチェックすることで、これからの音楽業界の未来が見えてくるかもしれません。
それでは、進化したテクノロジーを取り入れた最新の音楽ニュースを「AI」「VR」「センシング技術」の3つのジャンルごとに確認していきましょう。
AI に関する最新音楽ニュース
最新の音楽ニュースは AI に関するトピックが豊富です。AI に関連した最新音楽ニュースを紹介します。
ベトナム初の AI バーチャルシンガー「Ann」がデビュー
ボボ・スタジオ(BoBo Studio、ホーチミン市)は、2023年に AI によって制作されたベトナム初のバーチャルシンガー「アン(Ann)」を発表しました。
国内では以前から「初音ミク」のようなバーチャルシンガーが人気でしたが、「アン」は AI によって制作されたバーチャルシンガーです。
デビューに伴って『Làm Sao Nói Thương Anh(どうしたら愛しているといえるかな)』のミュージックビデオも YouTube で配信されました。
▼Ann - Làm Sao Nói Thương Anh | OFFICIAL MUSIC VIDEO
従来のバーチャルシンガーとの違いは、「アン」はビジュアルと声が人間に近い質感で表現されている点です。
日本国内で人気のバーチャルシンガーは基本的にアニメ調のタッチで表現されていますが、「アン」は実際の人間のようなビジュアルで表現されています。
また、複数の歌手の歌声を組み合わせて作成された歌声は、人間が歌う声とほとんど遜色ありません。
「アン」のような AI シンガーが台頭してくると、リスナーも自分が聴いている曲が AI シンガーなのか人間なのかを意識せずに音楽を楽しむような未来が来るかもしれません。
また、AI シンガーは私生活に関するスキャンダルや健康状態の心配もないため、スケジュールもしっかり守れる点もメリットです。
日本国内でも、人間と見分けがつかないような AI シンガーがデビューする日が近いかもしれませんね。
聞くとアイデアが浮かんでくる?「ひらめきをもたらす BGM」
株式会社 USEN は、オフィス向け音楽配信サービス「Sound Design for OFFICE」内で「ひらめきをもたらす BGM チャンネル」の配信を開始しました。脳の創造性や想像力を司る部位に働きかけ、聴く人にひらめきをもたらすことが期待されるそうです。
聴くだけでアイデアが浮かんでくる、そんな夢のような BGM があったらぜひ取り入れたいですよね。
選曲は AI によっておこなわれ、脳への働きかけにより仕事中の停滞感や会話の行き詰まりを解消する BGM を流してくれます。
番組制作の際には音楽がひらめきに与える影響についての共同研究がおこなわれたそうで、研究結果では「音楽あり」の状態では創造性に関わる側頭頭頂接合部が活性化することが確認され、「音楽によるひらめきの促進」が科学的に示唆されました。
これから先「音楽と脳の関係」の研究が進めば、音楽を利用して意図的に人間の感情や行動をコントロールできる日がくるかもしれません。
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VR に関する音楽最新ニュース
近年 VR 技術が発展し、仮想空間内で音楽ライブをおこなえるようになりました。令和になってからも、仮想空間内でのライブは世界中の多くの人々を熱狂させています。
ライブハウス「マイナビ BLITZ 赤坂」がバーチャル空間で復活
メタバース音楽フェス META=KNOT 2024 in AKASAKA BLITZ は、すでに閉館になった「マイナビ BLITZ 赤坂」を会場にライブをおこないました。会場の復活を記念し、音楽ライブは4日間にわたって開催されました。
現実世界では開催できない会場でライブができるのも、VR ならではの演出ですね。VR を活用したライブは「曲ごとに空間の背景を瞬時に変更できる」「観客は自身で好みの音量に変更できる」など、仮想空間でしかできないさまざまな楽しみ方も魅力です。
インターネット上に構築された仮想空間であるメタバース内でのライブは、Epic Games の人気ゲーム『フォートナイト』内で「米津玄師」や「星野源」がバーチャルライブを開催したことでも話題になりました。
近年は VR 機器の開発も進み、小型で画質の良い機器も増えてきています。「サングラスのような小型ゴーグルをはめるだけで、世界中の人気アーティストのライブ会場に飛び込める」、そんな未来を待ち遠しく感じる方も多くいるでしょう。
手軽に近未来的な世界観を体験してみたいという方は、VR ゴーグルのレンタルなどもおすすめ。ご自身のニーズに合ったものをぜひ探してみてください。
センシング技術に関する音楽最新ニュース
センシング技術は温度や振動、音などの情報を計測するセンサーを使用したものです。近年では、センシング技術を活用したライブ演出も話題になっています。
「五感で感じる、身体で聴く音楽」センシング技術と AI による映像演出
公益財団法人日本フィルハーモニー交響楽団はメディアアーティストの落合陽一さんとコラボし、センシング技術や AI を活用した五感で楽しめるコンサートを2018年より開催しています。
「人間が演奏するオーケストラに連動した映像を AI でリアルタイムで作り出し、コンサート会場に映す」という演出が画期的で、まさに耳以外でもライブ音楽を楽しめるコンサートといえるでしょう。
「落合陽一×日本フィルハーモニー交響楽団プロジェクト」では、過去にもジャケットを着ると振動を通して身体中に音が響く「LIVE JACKET」や、小型の振動スピーカーが内蔵されたバルーンを抱くことで音の速さやリズムを身体で感じられる「SOUND HUG」などを、ライブ演出に取り入れてきました。
曲の盛り上がりを振動や光などで感じられたら、聴覚障がいを持っている方でも、音楽を楽しめる可能性があります。最新のテクノロジーにより、音楽が遠い世界だった方でも近くで音楽が楽しめるようになったといえるでしょう。
上記で紹介した「落合陽一×日本フィルハーモニー交響楽団プロジェクト VOL.7」の公演は2024年2月24日に終了しているのですが、VOL.8以降の公演にも引き続き注目が集まります。
まとめ
テクノロジーの進化によって、音楽の表現方法も徐々に変化してきています。
AI、VR、センシング技術の発展はこれからも音楽業界に新しい風を吹き込み、未来の音楽体験を形作っていくことでしょう。
音楽が好きな人は、最新のテクノロジーが発表された際に「このテクノロジーが音楽と融合すると、どのような表現方法ができるだろうか」と考えてみるのもおもしろいかもしれませんね。
令和になってからのテクノロジーの発展には、目を見張るものがあります。
今後の音楽ニュースにも、ますます注目が集まります。
参考サイト:
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著者プロフィール
TAKUTO SHIOYA
高校卒業後、音楽の専門学校で作曲・編曲を学ぶ。複数のバンド活動を経て2016年からソロで弾き語り活動を開始。ハイエースで10日間車中泊をしながら中国・四国地方ツアーをおこなったりと、現在も精力的にライブ活動中。大手メディアの Web ライター兼編集者としての顔も持ち、新潟、静岡、神奈川、埼玉、沖縄など移住拠点を定期的に移しながら、日々感じたことを記事にしている。
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