音楽は国境を越えて、世界中の人々を熱狂させています。SNS や YouTube、TikTok などを見ていて、海外の音楽に興味を持った経験がある方も少なくないでしょう。
実際に開催されているアーティストのワールドツアーでも世界中の人々が熱狂し、人気 MV のコメント欄にはさまざまな国の人々から音楽に込められたメッセージに共感する声が寄せられています。
音楽は言語や文化の壁を越え、人々の心を一つに結びつける力を持っていますが、そのボーダーレスな力はどこからやってくるものなのでしょうか。
そこで本記事では、音楽のボーダーレスな魅力、世界中の人々をつなげる力について紐解いていきます。
音楽好きの方はもちろん、世界の言語や文化に興味がある方もぜひ読んでみてください。
情報伝達技術の発達により、音楽はさらにボーダーレスに
音楽は言語や文化を越えて、人々につながりを生むツールです。
たとえば、1971年にリリースされたジョン・レノンの『Imagine』は、平和を願うメッセージが込められており、世界中の人々の心を動かした楽曲として有名ですよね。『Imagine』に限らず、実際に海外の音楽を聴いて勇気づけられた人も多いでしょう。
そして近年、音楽はさらにグローバルかつボーダーレスになってきています。それは時代が進むごとに情報の伝達技術が発達した結果、人々が世界中の音楽によりアクセスしやすくなったからだといえます。
インターネットと SNS の普及によるグローバルな音楽の広がり
インターネットや SNS の普及によって、異なる国同士のリスナーが簡単に音楽を共有できるようになりました。
スマホやパソコンを開けばものの数秒で世界中の音楽にアクセスできる環境は、間違いなく海外の音楽に触れるきっかけを増やしたといえるのではないでしょうか。
また、TikTok や YouTube、Instagram のリール動画などの BGM にも国内外問わず話題の音楽が使用されているので、日常的に世界中の音楽を耳にしている方も多いでしょう。
ストリーミングサービスと国際的な音楽市場の拡大
さらに Spotify や Apple Music などのストリーミングサービスの拡大により、音楽のグローバル化が促進されました。
音楽を聴く手段はもっぱらストリーミングサービスという方も多いのではないでしょうか。
各ストリーミングサービスでは、ワールドワイドのチャートが簡単に確認できるため、リアルタイムで流行っている世界中の音楽を手軽に楽しめます。
また、世界の音楽市場は年々拡大しており「IFPI」(国際レコード産業連盟)がまとめたレポートによると、2023年の世界の音楽市場は10.2%成長し、9年連続のプラス成長が続いています。
国際的な音楽市場が拡大すると、必然的に世界中で流行っている音楽を耳にする機会も増加するため、日常的に海外の音楽に触れている方も増えているのではないでしょうか。
日本の音楽のグローバルな広がりについて
日本国内の多くのアーティストも、海外で絶大な人気を誇っています。
日本の音楽が海外に広がるきっかけはいくつかありますが、日本のアニメによる影響も大きいでしょう。
アニメを通じた音楽文化の広がり
日本のアニメのテーマソングは、作品自体の人気とともに国際的に広まり、テーマソングを手掛けるアーティスト自身も多くのファンを獲得しています。
たとえば、2024年1月19日~1月25日の Billboard JAPAN「Japan Songs(国別チャート)」にて7か国で首位を獲得した Creepy Nuts の『Bling-Bang-Bang-Born』は、テレビアニメ『マッシュル-MASHLE- 神覚者候補選抜試験編』のオープニングテーマに起用されたことがきっかけで、アニメ MV のダンスとともに世界中に広まったとされています。
2023年6月10日付の「Global Excl. U.S」で首位を獲得した YOASOBI の『アイドル』もまた、テレビアニメ『推しの子』の人気との相乗効果で認知が広がった側面もあるでしょう。
アニメのテーマソングは単なる BGM ではなく、物語の一部として認識されています。海外の方はアニメを通じて日本の音楽に興味を持ち、日本のアーティストや音楽シーン全体に関心を抱くケースも多くあるでしょう。
音楽は世界中の人々に平和や友好を伝えられる
音楽は世界中の人々に平和や友好のメッセージを伝える力を持っています。
音楽は感情や概念を共有できるツールです。悲しみや喜びなどの感情、もしくは平和や友好などの概念は、言語や文化が異なっていても、世界中の人々が共感できるでしょう。
楽曲を通じて、平和や友好に関するメッセージを世界に発信したアーティストも多くいます。実際の例をいくつか紹介します。
ウクライナ情勢に対して平和を願う~さだまさしさんの例~
日本のシンガーソングライターであるさだまさしさんが2022年にリリースしたアルバム『孤悲』に収録されている『キーウから遠く離れて』は、ウクライナ戦争に対する平和のメッセージを込めた楽曲です。
さだまさし New Album「孤悲」ライブ・ダイジェスト
楽曲の歌詞は日本語からウクライナ語に翻訳され、戦時下のウクライナ人にもメッセージが伝わったとされます。
「君は誰に向かってその銃を構えているの」から始まる平和を祈るメッセージは、国境を越えて、多くの人々の心を動かしたでしょう。
音楽や MV を通じてウクライナ支援をおこなう~アンティティラとエドシーランさんの例~
ウクライナ出身のバンド「アンティティラ」とイギリスのシンガーソングライターのエド・シーランさんは、2022年にウクライナ支援に向けたチャリティーソングとして『2step ft Antytila』をリリースしました。
MV の映像では、ロシア軍に破壊されたキーウ近郊の建物や、襲撃によって逃げる様子などが表現されています。
楽曲や MV を通じて現地、および世界中の人々に、平和な日々を願う祈りの気持ちを届けた例といえるでしょう。
Ed Sheeran – 2step ft Antytila [Official Video]
音楽の国境を越えるつながりから見える景色や展望
国境を越える音楽は、異なる言語や文化に触れるきっかけになります。
たとえば、音楽がきっかけで他国の言語を学ぶ人々は少なくありません。K-POP ファンが韓国語を勉強したり、ロック好きな人が英語の発音を学んだりするケースはよく見られます。
また、日本のアニメソングを通じて、日本文化や慣習に興味を持つ海外の方も多くいるでしょう。音楽によって他国についての学びや理解が深まれば、異なる国同士の偏見や差別が減るきっかけになるかもしれません。
さらに、音楽は異なる言語圏の人々にもメッセージを伝えられる特徴があります。
音楽を通じて平和や友好などのメッセージが国境を越えて飛び交えば、多くの人々が勇気をもらえる世界になるでしょう。
まとめ
音楽には言葉や文化が異なる国同士の人々を結びつける力があります。
音楽を通じて生まれる国境を越えるつながりは、異なる国との交流や社会的なメッセージを共有する役割も果たすでしょう。
また、YouTube や SNS の普及により、音楽はさらにグローバルな広がりを見せています。今後も音楽はボーダーレスな魅力を通じて、世界中の人々をつなぐはずです。
音楽がきっかけで、異なる国の文化への理解が生まれるようになれば、より多様で互いを理解し合う社会が目指せるかもしれませんね。
参考サイト:
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著者プロフィール
TAKUTO SHIOYA
高校卒業後、音楽の専門学校で作曲・編曲を学ぶ。複数のバンド活動を経て2016年からソロで弾き語り活動を開始。ハイエースで10日間車中泊をしながら中国・四国地方ツアーをおこなったりと、現在も精力的にライブ活動中。大手メディアの Web ライター兼編集者としての顔も持ち、新潟、静岡、神奈川、埼玉、沖縄など移住拠点を定期的に移しながら、日々感じたことを記事にしている。
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