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執筆者の写真S Satoko

瞑想ワーク②~「ゆっくりやること」の大義

更新日:2020年5月8日


今回は、毎日忙しすぎる!タスクが終わらない!なぜだ!と悶々としているせっかち派の皆様に贈るスローダウンのヒント。適度に忙しいことは良いにしても、気づいたら朝から晩まで、時には翌日までノンストップで走り抜けてしまうことはありませんか?


そんなピーク状態を落ち着けてくれるヒントは、好きなタイミングですべての動作を「究極にゆっくり」やってみること。もちろん、1 日中ではなく 1 分でも 5 分でも、最初は少し挑戦してみるだけでも効果アリ。はやる心を抑えて一旦すべてを手放すことで、自分自身を「マインドフルネス(mindfulness)」の状態に近づけることができるのだそうです。


以下、少し精神論的な内容になりますが、完璧に理解していただくというより「こういう考え方も意義があるかも」という気持ちで読んでいただけると幸いです。



そもそも、マインドフルネスとは


マインドフルネスは「今、この瞬間に目を向け、自分のあるがままを受け入れること」。


自分に対する感覚や見方、周りの環境を深く理解、認知することから得られるものです。マインドフルネスを通じてのメリットを期待したくても、一体どうしたらその状態に到達できるのかは常に悩みの種。

この「心を今に向けた」マインドフルネスに到達するためのステップのひとつが瞑想(meditation)なのですが、何時間もの間、森の中に座って瞑想したり、集中力や感情を自由に操作したり、現実をコントロールしたり…そのような訓練を積まなければならないのでしょうか?



マインドフルネスへの階段

先ほど、「瞑想はマインドフルネスに到達するステップのひとつ」とお伝えしたとおり、瞑想だけが唯一の扉ではありません。最近の潮流で何となく「マインドフルネス=瞑想」というイメージが根付いてしまっていることも、理解を難しくしてしまっている原因かもしれないですね。


ステップ 1 : まずリラックスして、共に感じる

でも、冒頭で述べたように、実は驚くほど簡単にマインドフルネスの心理に近づける方法があったんです。それがこちら。

米国のライフスタイルブロガー、Stewart Dunn 氏による記事『How To Trick Yourself Into Mindfulness』で提唱されています。瞑想の代わりにじっくりと時間をかけて物事に取り組むことで、心をマインドフルネスに持っていくトレーニングになるのだとか。


Do something you normally do…and do it at a snail’s pace. Slow. It. Down.

(いつもしていることを、カタツムリ並みの速度でやってみましょう。鍵は本当に、できる限りゆっくりやること)


例えば、シャワーを浴びたいと思ったら、超スローモーションでゆっくりと浴室へ。蛇口を慎重にひねったら、水温が気持ちに与える影響や、水滴が皮膚に触れる感覚をじっくりと味わいましょう。ひとつひとつの動作をゆっくりと行い、なんのためにその動作をしているのか考えます。髪や身体を洗う時は、左右の手の動きにも注意を払います。


同じようなトレーニングは服を着る時、食事の時、掃除をするときなど、いつでも、どこでも生活のあらゆる場面(運転するとき以外は…)で実践することができます。 ゆっくりと、一つ一つの動作に注意を集中することで、シャワーを浴びるだけでも瞑想と同じだけの効果が得られます。

気になるスローモーションの継続時間ですが、なんと 30 秒でもやる価値があるとのこと。これなら手軽に始められそうですね。実践中にイライラしたり、何か考えが浮かんできたりした場合は、まずそれを受け入れ、感じ取りましょう。シャワーで例えると、蛇口をひねった直後の水は冷たく、あまり気持ちいいとは思えないですよね。しかし、トレーニングを重ねていくと、驚いたことに身体は水のあるがままの状態を受け入れ、心地よいと感じるようになるのだそうです。



ステップ 2 : 懸念状態でのトレーニング

ステップ 1 が身に着くと、次の段階に進めます。トレーニングしてきたそのパターンを様々な感情、つまりイライラしているとき、感情の起伏が激しいとき、気持ちが張り詰めているときなどに実際に試してみるのです。「さあ、マインドフルネスに向けて頭を空にするぞ」と準備ができたときではなく、あえていつもの自分に戻ってトレーニングを行うことで様々な状況をコントロールする能力が身につきます。つまり、問題にぶつかったときに、直感的に反応するのではなく、適切に反応する能力が培われるのです。


もちろん、簡単にできるものではありません。最初のうちはやろうとしてもなかなかできませんし、現代人の生活リズムの中で「ゆっくりと」物事を行うことはやはり困難なことです。自分がやっていることに意義が感じられず、何か馬鹿げているように感じたり、速く物事を処理したくなってしまいます。しかし、そのときには焦らず、「自然に生まれる考えと欲望を受け入れ、認める」ことが大切です。


一旦その壁を突破すれば、あとはトレーニングを重ねることにより、時間が経つにつれて迷いは消えていきます。そして次第に、自分の反応をどのようにコントロールしたらよいのかを学んでいけるのだとか。


ステップ 3 : 精神集中状態でのトレーニング

最後の段階は、一挙手一投足に注意を払うことの意味を知ること。ひとつひとつの行動のプロセスをどのように始め、注意力をどのようにかけていくかを感じ取ることができれば、以前のようにただなんとなく反応してしまうことが少なくなります。集中力が必要とされる状況においても、一つひとつの要素がどのように融合し、完成に向かっていくかが理解できるようになるのです。


今はまだ実感できないかもしれませんが、これまでよく考えずに行っていた日常の動作が、トレーニングを重ねることで突然深い意味を持つようになります。一つひとつの動作の本質がクローズアップされ、自分の身体や周囲の環境、草のゆらぎ、風のそよぎに対しても敏感になり、より鮮明な感覚や体感を持てるように。



常にスピードと効率を求められる現代社会で、あえてゆっくり動いてみることの意義。土曜日の朝、起きてから朝食までの間だけでも良いので意識してみるのも良いかもしれません。

注意力を今この瞬間に注ぎ、自分の考え、行動と反応にはどんな関係があるのかはっきりと認知できれば、自分の人生とライフスタイルをコントロールできます。


「瞑想」と聞いて身構えてしまうなら、こうした簡単なトレーニングを生活に取り入れてみるのも手です。続けていくとふとした瞬間に、ごくわずかなことでも感じたことがないような喜びを感じ取れるはずです(納期があと 1 日スローにならないかなぁ…)。



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