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執筆者の写真S Satoko

瞑想ワーク①~仕事中に (!!) 実践したい瞑想プレステップ3選

更新日:4月4日


近年、心身の安定や集中力アップに効果があるとして注目されている「瞑想」。


私たち翻訳会社は時差あり、短納期ありの業界でほぼ24時間アンテナをオンにしている訳ですが、最近はあえてオフの時間をつくることの大切さにようやく気付いてきました。あくまでも私の例ですが、毎朝 5 時頃からその日にやるべき仕事をなるべく片付けます。その後も日本時間に合わせて夕方まで仕事した後、さあ1日が終わった…と思えば 18 時頃からアメリカやヨーロッパからの連絡が来始める訳です。すべての時差に合わせようと思うと身体も頭も到底持ちませんから、どこかで少しスローダウンする時間をもつことが大切。そこで行き着いたのが、仕事中に時間を取って(←煮詰まらないためにも、ここが大切!)エクササイズや瞑想で心を解放することでした。

今後、少しずつですが瞑想や集中力をキーワードに、ドMな激務をこなすための心の安定と集中をつくるヒントについてシェアしていきたいと思いますので、ぜひ続けてお読みいただければ幸いです。



さて、今や瞑想は健康でいたい人たちにとってひとつのメインストリームになっており、アメリカ疾病予防管理センター(U.S. Centers for Disease Control and Prevention)によると、2012 年から 2017 年の間、アメリカでの瞑想実践者の数は 4 %から 14 %まで増加。瞑想がストレス、不安、うつ病、痛み、不眠などに治療効果があると認知されたことが大きいようです。


ただ瞑想は健康に良い!といわれても、誰もがこの方法を気にいる訳ではないかもしれませんし、うまくできるとも限りません。長時間同じ姿勢で、心に立ち上ってくる雑念を無視しながら座り続ける…慣れるまでは達成感もないし、退屈にすら感じられるかもしれません。

そこで今回は、瞑想の境地にたどり着く前(必ずたどらなくても、良いのですが…)のステップとして、瞑想と同じだけの効果が得られる実践的なテクニックをご紹介します。

瞑想はわたしたちの大脳の構造を変化させ、長期にわたって実践すると生活の質向上に効果的なことが分かっています。以下の方法はすべて日常に根付いている簡単なものですが、すべて科学的に証明済み。意識して行うことで積極的に自身の思考パターンにアプローチし、変化を起こすことができるんです。



1.音楽を聴く

瞑想は大脳の「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」の活動を制御する訓練になるため、気分障害の克服に効果的だといわれています。うつ病や不安障害など、メンタルの病気と密接に関連しているのがこの DMN なのですが、音楽を聴くことでも瞑想と同じような効果が生まれるのだとか。

2014 年の研究では、「嫌いな音楽を聴いているとき、大脳はストレスを抱えているときと同じような状態になるが、お気に入りの音楽の場合は脳の状態が全く異なる」という興味深い結果が発表されています。つまり、好きな音楽には人を集中させ、落ち着かせる作用があるということです。


トロント大学のベイクレスト・センターで博士研究を終えた神経科学の専門家、Valorie Salimpoor 氏によれば、「音楽は大脳の“気を散らす部分”を抑える働きをしてくれる」のだそう。Salimpoor 氏が 2011 年に担当した研究では、音楽を聴くことが神経伝達物質であるドーパミンの分泌を促進させることを発見(瞑想時にもドーパミンが分泌されます)。これが音楽によってわたしたちが積極的な気持ちになれるひとつの理由だと言えます。


音楽は、感情を解放するために安心して使えるツールなんですね。



2.エクササイズをする


エクササイズは瞑想と同じく、大脳の健康に貢献します。例えばヨガでは、深呼吸をしたり、体や精神を敏感に意識したりするようにしますが、これは瞑想の要素と深く結びついています。研究によると、ヨガで呼吸や瞑想を意識するようになると、脳波の活動や前頭葉皮質の灰白質が増加。DMN の一部である前頭葉皮質の活動が促進されるため、大脳の処理能力もアップするのです。

2016 年の研究では、インターバルトレーニングがマルチタスクや問題解決能力を向上させることが分かっています。これは、トレーニングにより脳の集中力が向上するとともに、脳の中の雑念をシャットアウトしてくれるためだといわれています。

別の脳画像研究では、ランニングを習慣にしている人の脳では実行力と記憶力を司るエリアが互いにスムーズに連携しており、DMN の活動もしっかりとコントロールされているということがわかっています。

また、どんなエクササイズであっても、脳の中では苦しみを和らげ、幸福感を増加させる働きがあるエンドルフィンという化学物質が分泌されます。仕事中に時間が取りづらい場合は、少し速足でランチに行ってみる、トイレに行くたびにスクワットを 10 回するなど工夫は色々できそうです。



3.緑の多い場所で過ごす

大自然の中に身を置くことも心の解放に繋がります。イギリスでは研究者たちが「生活をとりもどす」ことを目的に、一日 30 分の野外活動を 30 日間続けることを提唱。結果を比較すると、これをやり遂げた人たちは気持ちの安定、幸福感、集中力が明らかに向上し、人生に意義を感じることができていました。

日本でも、医師が「森林浴」を勧めるなどその注目度は上昇しています。緑の中を散歩し、周りの景色や聞こえてくる音、香りなどを全身で「沐浴」することで、血圧やストレスを左右するホルモンであるコルチゾール値を低減。同時に免疫力を上げ、幸福感をもたらしてくれる効果もあります。


2015 年の別の研究によれば、都市の中を歩くよりも、大自然の中を 90 分間散歩する方が大脳の「精神疾患」と関係した部分の活動が低くなるとの結果も。この研究者は報告書で「都市化が急速に進む世界にあって、自然はわたしたちのメンタルヘルスにおいて極めて重要」と結論付けています。



また、これ以外にも目の前にあるものに没頭する「フロー」という状態に入るのも瞑想と同様に効果的です。フローはたとえると、作品を無我夢中で仕上げているアーティストのような心理状態で、心理学的にも「 最高のパフォーマンスを発揮し、心地よさや幸福感を味わうことができる状態」だと発表されています。このフローについては、また別の記事で詳しく取り上げる予定です。


ここで挙げた 3 つの方法の共通点は、日常生活から一旦離れてリラックスし、心身を喜ばせること。一番好きな曲を聴きながら大自然の中をジョギングしてみたり、緑がいっぱいのカフェで少しだけぼーっとしてみたり。忙しい日常の中でこれを意識的に実践し、宇宙と一体化したような解放感が得られたらしめたもの。実際、翻訳者よりも激務の方はたくさんいらっしゃると思います。「もぉー、私はこんなに忙しいのに!」と思っていても、実はみなさん忙しいんですよね。この感覚を意識するようになってから、忙しさをとにかくアピールしていた時代から「忙しいんだけどぐっとこらえて今できる回答をする」というスタンスになり、少し脱皮することができたような気がします。

1 日のうちほんの 5 分でも、自分を解き放つ時間を意識して持ちたいものですね。



人生をもっと楽しみ、 仕事でより高い成果をあげる心理アプローチについてご興味をお持ちの方は、『仕事・人生・自分』を変える学びのメディア Life and Mind+ の記事もあわせてご覧ください。



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